- 田川裕一
- 中央経済社
- 2520円
私は10年ぐらい前に起業した。個人事業主か法人をつくるか悩んだ。
株式会社が1円でもできる特例がちょうどできた頃だったので、株式会社を立ち上げるブームでもあった。
株式会社にするのがいいのか?普通に有限会社にするのがいいのか?それとも、新しく合同会社というのができたので、話題性もあるので合同会社にするのがいいかしらんと思った。
ただし会社を立ち上げるとなると、登記するときだけで費用が20万円以上かかる。それに加えて毎年の事業税が7万円以上と法人税がかかる。申告が煩雑で税理士の助けを借りないとできないかもと思った。結局、開業するのに一番シンプルな個人事業主で開業することにした。
もし人を雇う必要ができたときに、ちらと本で読んだ個人事業主から法人に事業形態を変える「法人成り」というのをすればいいと思っていた。
この本は、まさしくその「法人なり」をするべきかどうかに焦点を当てた本である。
事業を始めるには、個人事業主でも可能だ。
税務署に個人事業主の開業届を出して、お客さんと取引すれば良い。
ただ会社と取引するときは個人では使用されにくく、法人となっている方が良い。
法人と言っても、一人株式会社なのに、なぜかそちらのほうが信用される。なぜだろうか?
ただ個人事業主の方が法律が簡易で、税務申告などもしやすい。
どうせ一人だったら、個人事業主の方がいいのではないか?
そんな疑問を今でも持っている。個人事業主として10年経って様々な経験をしたから、その2つのメリット・デメリットはなんとなくわかってきた。
ただ、毎年法改正されるので当初知っていたことと、今の法律ではずれてきてこともあるし、まとまって知識を得るにはこの本は良い。
この本の目次では以下の様なものがあるが、非常にわかりやすく書かれている。
・個人事業と法人事業の違い、業務は同じことをしていても組織の形態として何が違うのか?
(個人事業といいながら、実は人を雇っても良い。個人商店は個人事業として開業して、人を雇っているケースも多い)
・個人事業と法人事業のどちらが得か?
費用項目について比較する。また会社の形態によりどちらが得かを詳細に書いている。
・法人成りするとすれば、どのタイミングで行うか?
決算期・消費税の支払うタイミングの点
・管理会計について
将来、会社がうまく言って大きくなったときこそ、会社の実情をつかむために、管理会計というのが必要になる。
私自身、法人成りをするかどうかはわからないが、将来法人なりするときにもう一度この本を紐解いて見たいと思う。
ちょっと心配なのは、この本は「個人事業主で法人成りを考えている人」というかなり絞ったターゲットに向けて書かれた本である。
フリーランス(個人事業主)の人だけでも少ないのに、さらに法人なりを考えている人って、いったい何人いるのだろうか?
ただし、その人にとってはバイブルとなりうる本である。