旅行中に、この本を読んでいた。
国内を旅行しているのに、3年もの間世界を車で回っているロジャーズと心がリンクして自分まで世界を回っているような錯覚になった。
ジム・ロジャーズという人はジョージ・ソロス氏とクォンタム・ファンドの共同創業者であった著名な投資家である。
1973年から10年間で、ファンドの価値を33倍にした。
彼が他の投資家と違うのは、ギネスブックに乗るような冒険家(放浪者)でもあった。80年台に中国で5回バイクで旅をして、バイクで世界一周をして、車で3年もの間世界二週ぐらいしている人である。
・3年もの間、飽きもせず好き嫌いなく挑戦している
・計画をきちんと立てており、無理はしない
・命の危険を感じつつも、冒険する刺激を大切にしている
・投資で遊んで暮らせるだけのお金を稼いでいて、人生を有意義に過ごそうと考えている
・旅で終わるだけではもったいないので、自分の目で見て聞いて、投資のネタをつかもうとしている
この本を読んでいて感じたのは、本当に旅が好きな人なんだな。旅こそ、彼の人生の一部なんだなという点。
私は半年旅をしていて、飽きてしまった。旅が生活の一部になって、新鮮味が薄れた。
エジプトではピラミッドを見ても感動しなくなり、ピラミッドの中に入る興味が失せて、シワのオアシスという普通の人が行かないところへ行って興味をつなげた。あとは、先進国を見てもさらに興味がなくなり2年の予定を止めて1年にして日本に帰ることにした。
その延長線でアフリカや南米へ行ってもつまらなかっただろう。ただ世界地図を塗ることだけだったんだと思う。
彼の場合は、旅をしながら投資先を見つけるという目的があった。
私も株で儲けたお金を持って旅行していたので、ロジャーズと比べるに値しないがそんな気が少しあった。
現地で安く買った服や小物などを日本に送ったりした(受け取った母はゴミみたいなものと言って、次から次へと捨てたのだが)。
ネパールでは石を買っているという人や、カトマンズで醤油を作っているという日本人にも会った気がする。
5年間旅を続けていて、お金がなくなるとヨーロッパやアメリカの日本食レストランで稼ぐという人もいた。
インドでパスポートを捨てて、サドゥになっているという人や麻薬で廃人になっているような人もいた。
タイでは売春婦にはまって、最後には売春婦に生活の面倒を見てもらっているという人もいたそうな。
中国では、日本の商社の要望でマッタケを探しているという人もいた。
ミャンマーが軍事政権で陸路が閉ざされているのに、中国から入っていくという人(フランス人?)もいた。
イスラムの国を女性姉妹でヒッチハイクしている人もいた(ドイツ人だったけ?)。
いろいろな人に会って話を聞いて、日本がバブルのときで起きているのと全く異なる世界がそこにあった。
また生きる基準も目的も、お金儲けというのではなく、人生の何かにこだわって自分の世界で生きていると感じた。
そのときは、物価の安いインドと中国、東南アジアでは1年で60万円ぐらいで生きていけるので、半年日本で稼げば残りの半年はずっと楽に旅ができると思ったものだ。今はインドも中国も物価が高くなったので、別の方法を考えなくては行けないと思うが。
投資に関して、彼はこう言っている。
「戦争か内乱でひどいことになった。それが一息ついたときが投資の機会である。ただ賄賂が横行し、統治者や役人が国の発展を奪うようなことをしていたら投資を引き上げる。国の状態は逐一変わるので、その変化を自分の目で判断する必要がある。」
企業や国は栄枯盛衰なので、いいときもあれば悪い時もある。悪い時もいい時になることがある。
ただ税金や投資を栄養としてぶくぶく太っている、国際機関の職員や先進国の役人、NGO職員、腐った国の統治者や役人などは批判していた。
国際機関の職人や役人は、競争が厳しくて民間では生きられないにもかかわらず、発展途上国へ行ってエアコンの入った部屋で王様のような生活をしている。ただの税金や寄付金を食い荒らしているに過ぎない。
(私も電波少年でニューヨークの国連を取材している場面をみたときそう
ジム・ロジャーズは、自分の世界に生きている人であるなと思った。