強いられる死 自殺者三万人超の実相 |
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日本では毎年3万人の自殺者がいます。
子どものいじめ、借金苦、介護に疲れたなどいろいろなことが原因で自殺を選ぶ。
毎日のように、地下鉄や電車が人身事故で遅れてしまう。
もはや新聞の記事にも載らない自殺。
私は自殺しようとしたことはないけれど、このまま電車に飛び込んだら心が楽になるかもと思ったことがあったり、雨の中で車や自転車を飛ばして目をつぶってみたらどうなるのかなと思うことがあった。
この本では、自殺しようとした人や自殺した人の事情を掘り下げて実例をあげていく。
・職場でパワハラでいじめられた末に自殺
・郵便局が民営化されて、公務員から民間社員になったために、
・多重債務で借金を返さなくちゃという義務感で自己喪失
・倒産して連帯保証で全てを失う。生命保険に入っているからこそ「死んでお詫びを」と追い込まれてしまう
・学校や自衛隊という隔絶された社会のなかでのいじめにより自殺
年間3万人という統計的な数字だと実感がないけれど、こうして一人一人の名前と実例をあげてくるとその心の辛さを感じとることができる。読んでいると本当に辛いものだけれど、どうすればいいのだろうか?
社会構造が変わって、公務員の人が追い込まれていくこともあるんですね。
閉じた組織だといびつなことになって、組織の弱いところに皺寄せがいく。
心がやさしく真面目な人が追い込まれていく。
弱い人間といえば、それまでだけれど、その人を死に追い込むような世の中でいいのだろうか?
【追記】
本の中で生き残った自殺者の、自殺の時の体験がでてくるが壮絶なものだ。
中でも、富士山にある青木ガ原の樹海を1週間彷徨った人が死にきれなかったという話すごい。
裸足で歩いて飢えか凍え死に死ねるかと思ったが死ねなかった。
夜になると野犬が吠える。生きたまま野犬に喰われるのだけは嫌だった。
よく自殺死体も野犬や野性生物に喰われて、身体の一部が見つからないことがある。本の中でも首をつった女性の下半身がなくて猟奇殺人だと思われたものが、実は下半身を野生成物に食べられていた歯型が残っていたという記述もあった。
意識のあるまま、野性生物に身体の一部を喰いちぎられていくのは、ちょっと辛いなぁ。たとえどんな形で死ぬというのを選んだとしても。痛みは一瞬ならばいいと思っていても。