- 西原 大太郎
- インフィニティ
- 1260円
アフリカのウガンダという国で、少年兵の社会復帰を支援するNPOテラ・ルネッサンスの話である。
NPOというと世の中のために働いている堅苦しいイメージがあるかもしれないが、私たちと同じ人間が働いている。普通の株式会社や役所に勤めるのはお客さんや市民のために働いていると考えれば、NPOもある特定の人のために働いているといえる。
しかも、このテラ・ルネッサンスの代表の鬼丸さんやウガンダ駐在の小川さんは、30歳前後のごく普通の若者のようです。ちょっと違うのは、ミッション(自分がやらなきゃいけないこと)に少し早く目覚めてしまったということでしょうか。
ウガンダの少年兵の話は数年前からテレビのドキュメンタリーで見たことがあり少し知っていました。ウガンダだけでなくシエラレオネなどアフリカ諸国の内乱があるところで、子どもが誘拐されて兵隊にさせられてしまうという話でした。
子どもは大人と違って洗脳しやすいので都合がいいそうです。
そして小さいころから教え込めばためらわずに人を殺せる、殺人マシンにすることができるという話でした。
でも本を通して、まだまだ事実を知っていませんでした。
女の子も兵士にされることや、子どもは弾よけにさせられること、病気などで役に立たない場合は情報が漏れることを恐れて殺される。
家族と訣別させるために、子どもに親を殺させること。
まさに地獄です。
そんな絶望的な状況ですが、
まだ生きています。
もう兵士ではありません。
夢も持てます。
将来もあります。
「未来はどうなのかなぁ」ではなく、「未来は自分たちが作っていくもの」です。
そんな忘れていたことを思い出させてくれました。
マンガの本だったので、2時間もあれば読めてしまいました。
でも写真や文章ではなく、マンガなので伝わってくるものもありますね。
遠い国の黒人ではなく、同じような心を持った等身大の人間が同じ地球という大地で立っており、私たちとつなげようとしている鬼丸さんや小川さんという人たちがすぐ目の前にいるんだなと感じさせてくれました。