6月
28
2008

【本】世界がキューバ医療を手本にするわけ

最初はこの本を読もうかどうか悩んでいた。

医療や医療政策に興味がわかず、キューバという国もあまり関心がない。

キューバといえば、カストロ、社会主義、スポーツ、アメリカによる経済封鎖、サルサぐらいしか思いつかない。

歴史の教科書には、カリブ海に浮かぶ島としては大きいが小国であり、1960年頃にカストロがわずか数十名で社会主義革命を起こし、旧ソ連から核弾頭を持ち込もうとした。当時のアメリカ大統領ケネディが反応し、海上封鎖を行った。第3次世界大戦勃発かという危機をもたらした。

私の生まれる前の出来事で、それ以降のニュースはほとんど届かない。

 

日本に届くニュースはアメリカ経由で届くものでバイアスがかかっているかもしれないし、日本にはキューバはあまり縁のない国かもしれない。

 

しかし、日本以外の国でキューバは重要な国になっていた。


世界がキューバ医療を手本にするわけ

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書評/ルポルタージュ

 

キューバは旧ソ連の経済援助を長い間受けているのと、アメリカの経済封鎖を受けているせいで、貧しい国である。平均年間所得はアメリカや日本の30分の1、メキシコの6分の1にすぎない。フィリピンと同じぐらいである。

平均寿命は年間所得と相関関係がある。先進国は平均寿命が高く、発展途上国は平均寿命が低い。医療にかけるお金や健康診断を受けるかどうかもあるだろう。発展途上国は健康診断に払う余裕のあるお金もないし、理解も少ない。

 しかし、キューバの平均寿命は先進国並に高い。

それはキューバの国の医療制度もあるが、貧しい国なのにどうやって医療制度を発達させたのか。それだけでない。世界中で災害が起きると、無償でキューバの医師団を送り込んで災害援助をしている。男女関係なく医師を送り込んでいるから、パキスタンやインドネシアのイスラム国家では、女性の治療に対して女性医師が対処できる点がとても優れているそうだ。

医療制度だけでなく、独自に天然痘治療薬やエイズ治療薬などの研究開発で成果をだしている。アメリカから薬を輸入できないし、第3国経由で手に入れても高すぎるので、自力で薬を発明した。

キューバ国内では、医療制度だけでなく、他の技術や社会に対してもよい結果を出しつつある。教育水準は高く、犯罪率も減っている。どうしてなのか?

 

ただよい面だけではない。アメリカでは医師の収入はキューバの100倍ぐらいの差があるので、たくさんの医師が亡命している。タクシーの運転手が観光客からもらう1日の収入は、医師の一ヶ月分の給料に匹敵するという矛盾もある。

社会主義政権のため、いろいろな矛盾を持つ。また自由も一定範囲のなかしかない。

ただ、キューバの政策から考えることはあるのではないだろうか?

社会主義を取り入れる必要はないけれど、キューバのことを知って、キューバから学ぶことはあるのではないだろうか?

 

冒頭に、千葉大学の広井教授の言葉が添えてある。

「イギリス型の大きな政府か、それともアメリカ型の小さな政府かという対立軸も所詮は社会保障の富の再分配の問題にすぎず、今後は、経済成長を前提としなくても豊かさが実現される社会が必要だと主張している」

資本主義、社会主義というようなイデオロギーの対立ではなくて、人間がいっしょに生きていく中で、どうやって富の再分配をするかが重要なテーマかもしれない。

他人が遊んでいるときに努力して成果を出したことに対して、報酬をもらうというのは正当なことである。ただ独立禁止法という法律があるように、行き過ぎる可能性がある。所得についても、多い人はさらに多くなり、少ない人はさらに少なくなる傾向がある。

ある程度の歯止めがなければ、経済政策は破綻をきたし、崩壊に向かい、やがて再構成される。

話は変わるけれど、石油の値段がどんどん高くなると、庶民も企業もついていけなくなる。それで破綻を来たし、代替エネルギーか別の方法を考える。そのとき科学技術は飛躍する可能性があるけれど、それまではエネルギーが高く物価高の時代をすごし、つらい目にあうんだろうなぁ。ある意味戦争時代に発明・発見が起きた危機的な状態と似ている。

 

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