- 濱田 秀彦
- 祥伝社
- 1260円
「ソフィーの世界」は、「あなたは誰?」という手紙が届いたところから哲学について理解を深めていくという本だが、この本は心理カウンセラーの縮小版という感じがな。小説の形で一つ一つ読者と一緒に主人公が考えて、自分なりの結論を出していく。
ただ読みとおすだけでなく、質問があったら自分なりの答えを考えてほしい。途中で展開が変わって自分の答えに修正が必要な時も、主人公がどうやって答えを出すか、自分がどうしてその答えを導き出したかを考えてほしい。
本では以下の5つの質問が次々と携帯のメールに届く。
- キャリア開発とは何をすることか?
- 人に仕事を頼むとき、大切なことは何か?
- 叱られたとき、最後に言う言葉は何か?
- 自分の意見を言うのに必要なことは何か?
- 出口が見つからないときは、どうすればよいか?
順番については漠然としているが、どれも社会人になったときに必要なものであろう。本は新人を対象にしているので、自分が新人のときにどう思ったかを思い返した。ただ、結論はないので、20年近く前に出した答えと今の答えは違うかもしれない。そう考えると、この歳になっても学ぶべきことは山のようにある。特に、きちんとキャリアの段階を踏んでいない私にとっては、自分なりの答えがゆがんだものである可能性も高い。
年を経て立場も変わったので、この質問を逆説的にとらえるのもよい。
- 会社でのキャリアははたして重要か?
- 人に仕事を頼まれたとき、どうするか?
- 叱るときに、気をつけることは?
- 人の意見が、自分の意見あるいは大勢の意見と矛盾するときは、どうするか?
- 本当に出口が見つからないときは、どうするか?誰も助けてくれない、待ったなしのときは。時限爆弾を取り外そうとしているとき。
またそうすることで、この本は2度おいしくなる。