9月
13
2007

【本】その後の不思議な会社

愛知県大府市にある株式会社名南製作所についての本である。
ただ残念ながら、この本は非売品であり市販されていない。たまたまあいち
ベンチャーハウスの図書コーナーにあって、名前をどこかで聞いたことが
合ったので手にした本だ。

名南製作所は、社員100名強の規模ながら、合板加工機械を設計・製作し
ており、その技術力は世界でも評価が高い。

その創業者の長谷川氏にインタビューして、名南製作所という会社を浮き出
したのが本書である。この本は市販されていないが、私が今まで読んだ本の
中でも良い本で、実際にこんな会社を作るためのノウハウに詰まっている。
とはいっても、言うは易く行うは難し、実際に実現するのは難しいだろう。

インタビューアーが会社の実像を簡単にまとめたのが以下に列挙した。独創
的な会社だからこれだけではわからない。以前、このブログでも紹介したと
思うが、豊橋にある樹研工業、岐阜にある未来工業のように、社員に自律と
自由を与えている人間本位の会社だ。

(1) 社是がニュートン力学の第二法則である「F=ma」である。

会社の哲学であり思想である。機械がその第二法則に基づいてつくるという
だけでなく、人間関係、世の中のいろいろなことがこの基本に基づいて動い
ている。

(2) 全社員が毎週、就業時間中に4時間も物理学を学び、十年たって全員が
開発エンジニアに変身した。

物理学を徹底的に自分たちで学んでいる。それは、(1)F=maの意味を深く学
ぶためである。生半可な大学生よりも詳しく、そして実験に基づいている。
実験をすればするほど誤差に悩まされるが、その誤差も基本を深く理解して
いなければ制御できなくなる。その誤差いわゆる現実を乗り越えていくとこ
ろに、新しい発見がある。

(3) 本邦無比の「次元給」という給与体系をとっている。給与は全員自分た
ちで決める。

給料を決めることはどの会社でも難しい。会社に貢献した相応分の報酬を出
すのがもっともだが評価するのが難しい。それならば給与委員会をつくり、
そこで全社員に給与を決める。これは参加する方が現実に面と向かうのでタ
イヘンなことだ。
さらに、次元給というどこにもないものを採用している。これは人間力のよ
うなものだ。

(4) 部長、課長、係長といった職制はない。「俺がリーダーだ」とリーダー
シップを取る者は誰でもリーダーになれる。

肩書きはない。社長や役員も一定の資格のあるものが決める。
結局、能力が高く尊敬される人がリーダーになる。逆に肩書きで上下関係が
決まるものではない。

(5) 5年以上の社員は全員株主で、株主総会では1人1票の信任投票で社長
と役員を選ぶ。

ある程度会社に根を張ったものが株主になる。
ところが株数に応じて発言権があるわけではなく、1人1票だから厳しい。
社長がいいかげんだったら、すぐに首になってしまうわけだ。
社外株主はいない。もちろん上場するつもりもない。

(6) 命令は一切ない。自主性自発性を徹底的に尊重する。リーダーは説得で
人を動かす。仕事をしたくなければ1年中ぶらぶらしていてもいい。ただし
それができる人はまずいない。

上のものが命令はできない。
だから説得するのは大変である。能力があり人望がなければ勤まらない。
マネージャーはいらないのね。

(7) 製品はすべて独創である

(1)(2)の研究開発のたまものである。
真似はしないし、受託開発もない。

(8) 担当部門は自分で決める。能力ある者はいくつ兼任してもいい。

研究・開発が主体であり、20年前の時点で同時に10の研究開発が行われ
ている。2つの研究開発が似たようなものがある場合は、自然に優勢な方を
残して次点は吸収され解散されてしまうそうである。

(9) トンちゃん会

切った鉄板の上で焼肉を焼いて、お酒を酌み交わす。
ざっくばらんな焼肉パーティがある。言いたいことを言ったり、議論した
り、酔いつぶれる。そういうのを部門ごとに、しょっちゅうやる。
そうやってまずは人間どおしの付き合いをする。肩書きなどは気にしない。

ソフトウェア開発をしているアメリカの会社は、結構こういったところがあ
るという。そんな会社があったらなぁと思っていたが、日本には稀有な存在
だ。この東海地区で製造業が強いといわれているが、そういう会社は前にあ
げた。独創的な会社があるから、不況などの環境の変化に振り回されず強い
のだろう。

ソフトウェア開発でそういう会社があったらなぁと思い、ないので自分で会
社をつくった。なかなか難しい。この本が参考になればなと思う。

株式会社 名南製作所
http://www.meinan.co.jp/

Written by in: 楽天日記 |

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