7月
12
2007

【本】何のために働くのか

書名: 何のために働くのか
出版: 致知出版社
値段: 1500円+税
ISBN978-4-88474-773-2

この本はイートレード証券が開設した、SNS「イートレ長寿村」の会員に対
して抽選で配布した本である。3000人くらいの応募があって、1000人に当た
るのであるが当たってしまった。これで運が続いているとみるか、運を使っ
てしまったとみるか。

この本は、北尾氏が常日頃思っていること、若い世代に伝えたいことをゴー
ストライターではなく自分の手で書いたものだと思う。SBIグループの社員
向けに書いたものともいえるかもしれない。会社が大きくなれば、社長がど
う考えているか、会社はどんな方向へ向かっていくか、末端の社員まで声が
届かないからだ。

北尾氏は先祖が儒学者でまた商人の良家の家柄である。
彼が幼い頃から親しんだ中国の古典、論語・大学を始めとする四書五経特に
儒教に親しんでいる。この本で書かれていることは、この哲学と彼の人生経
験によるものだ。

私の半生は彼に比べれば取るに足らないものだが、共感できるものもあるし
意義を唱えたいものもある。中国の古典の全てが現代に通じるわけではない
が、科学技術が発達しても文明はたいして変わっていない。人間自身が進化
を遂げていないので、古典でも現代に通用することは多いと思う。中国の古
典で述べていることは、そのまま西洋でも通用することもあるし、西洋独自
で生まれたことも東洋と全く同じことを言っていることも多い。

著書の中で共感できること
・自分の能力を活かして、世の中に尽くすことこそ悔いのない人生を送るこ
とができる

・ピンチは同時にチャンスである。ピンチを迎えているのは自分だけでな
い、同時に会社全体がピンチであり、社会全体がピンチでもある。それに逃
げず立ち向かっていくことが肝要。ピンチを乗り越えれば人間的な成長が生
まれる。

・天職なんて存在しない。自分に与えられた仕事に励んでその道を究めるこ
とこそ天職である。

・人生には限りがあり、無駄にはすごさない。そのためには身体を気遣い、
不必要な付き合いも避ける。彼は毎晩のように会食をしているそうであるが
2次会には参加せず、土日にゴルフをするようなことはないそうだ。

私は人とのコミュニケーションが下手だったせいか、10代、20代と尊敬でき
る大人には出会うことができなかった。それでひたすら図書館にある古典な
ど特に西洋のものを読んだ。よくわからなかったので、自分勝手な理解をし
たかもしれない。そのため上記のことで自分で思ったのは、最後の時間につ
いてである。サラリーマンの出世に必須といわれるゴルフはしない。その時
間を本を読んだり家族と過ごすことにしている。

この歳になって初めて、いろいろな人の話を素直に聞けるようになったし、
同世代や若い人の本を読むことができるようになった。また、三国志も横山
光輝氏のマンガではあるが読んでいる。10代のときに友人から借りて読んだ
が、そのとき感覚的にわからなかったものが今はなんとなくわかる。

また、先日ブログに書いた「M2:ナショナリズムの作法」と書いてあるとこ
ろで共通していて、はっとさせられたものがある。戦後、日本人が失ったも
のは「武士道」や「徳育教育」のようなものだ。礼儀や貞節を持っているか
らこそ、日本人は畏れられ尊敬されていた。団塊の世代までは、その両親が
戦前の教育で身につけており、その躾を子どもに与えていたから、まだ礼節
を知っている。しかしそれ以降の世代は、その教育を受けていない。

法律さえ守れば何をしてもいいんだということになったら、法律を乱発して
行動を制限することになってしまう。日本や日本人は、アメリカと違って似
通った考え方を持っているのだから、法律で厳しく縛らずに、イギリス、フ
ランス、ドイツなどを参考にして法律よりも規律でコントロールしていった
方がいい。そのためにも、一度戦前の教育も参考にするべきだというのは一
理ある。

ただ一方で、儒学というのはお上が民衆を統率するための学問である。そこ
には人間主義や自由主義はない。果たしてそれでよいものか、少し疑問に思う。

下の写真は、北尾氏の篆刻が本の扉にあったものです。

Written by in: 楽天日記 | タグ:

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