7月
07
2007

【本】M2:ナショナリズムの作法


M2:ナショナリズムの作法

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書評/社会・政治

ふー難しい本を手にとってしまった。
でも一度、このM2シリーズを読んでみたいと思っていた。これが最後のシ
リーズになるとは残念だが。

M2とは、「朝まで生テレビ」の議論に出てくる論客お2人の宮台真司と宮崎
哲弥のユニット名のことだ。この本は雑誌サイゾーで対談したのをまとめた
ものだという。雑誌の方は全く読んだことがなく、「朝まで生テレビ」の議
論のようなものが続くと思っていた。

しかし、それは間違いだった。
まず言葉が理解できない。難しい言葉が並ぶ。「リベラリアン」「コーポラ
ティズム」「ポストフォード主義」、さらに欧米と日本の論客の名前がず
らっとならび、それぞれの主張について分析して、自分の立場論理と比較する。

おぉ、これこそ、文系知識人であると同時に高学歴で象牙の塔にいる大学の
センセのいう言葉だ。そこに議論を挑もうとするならば、フランス語やドイ
ツ語でまくし立てられて近寄らせない。「君は議論の入り口にも立ってない
よ」。

そうは言うものの、文系論客のみなさんは世界的学問に立ってみれば評価されていな
い。ノーベル経済学賞は日本人には取れず、政治学・法学・経済学・社会学
でも世界の先端を行っていない。いわば日本の狭い世界だけにいき、英語や
ドイツ語、フランス語に弱い日本人に訳書を用意して学問をした気になって
いる。それを知識人と呼ぶ。

ああ、言ってやった。

しかしだ、彼らの責任だけではない。宮台氏が言うように、私たちが田吾作
として時の政府にゆらゆら揺らぎ、劇場型政治を楽しみ、芸能三面記事的に
しか世の中を見ていないのでは、彼らに議論をするどころか、その入場券を
手にできないのも事実である。

確かにこういった議論をせずに感情的になって話ができないことが問題である。
フランスやドイツやイギリス、さらに中国やいろいろな国の諸事情、背景、
考え方、近代史、いろいろなものを踏まえた上で、さて日本はどの道を歩んで
行こうかと考えるのが冷静になって考えることのできる成熟した社会なのだ
が、どうしても感情的になって政治してしまう人たち、それに一票入れる
有権者が頼りない。階層が上の人たちも、下の人たちも、それぞれの責任を
持って意思表明しない限りは、責任をとらないお上の事なかれ主義に道を
踏み外してしまう。

実際のところ、宮台氏があとがきで「社会」も「政治」もたいして興味がない
のだという。だから好き勝手に言えたが、身にせまるそういった人たちが
議論にまじめに討論できないことが、田吾作的に映ってしまうようだ。それが
こういった議論として好き勝手放題でありながら、満足し切れていないところで
廃刊になってしまったかもしれない。

さて、この本は少し前に話題になったことを載せている。雑誌に連載中のと
きは時の話題であったことだろう。「靖国問題」「ニート」「天皇家お世継
ぎ」とゲストとの対談が書かれている。

個人的におもしろかったのは、フランスに留学していた人が議論に混じっ
て、フランスの暴動問題を取り扱ったことだった。日本での報道とフランス
での報道が、同じニュースでも捉え方が全く異なったという。

フランスでは暴動は政府に倒してのメッセージを出す方法の一つであるこ
と。これはフランス革命からの歴史で、政府に対して要求を出す方法であ
り、暴動をうまく治めることができなければ政府が転覆する意味も含まれて
いる。

日本はお上の考え方、儒教の考え方が強いので、世の中を混乱させるものは
悪だと考える。だからお上が決めたことは素直に聞く、それを混乱させるも
のは人々が許さない。

どちらがいいかわるいかではない。こういう考え方が生活の端々にまで染み
渡っており、自殺が多い理由の一つであったり、役人が腐敗はしなくても年
金問題まで引きずってしまうのかもしれないとも思った。

ときには文系的に頭を動かしたい人には良い本である。ただ註を読んで考え
ているだけでも時間がすぎていく。私も2回読んだが、よくわからないとこ
ろがある。言葉をぼやっとした感じで捉えて、距離を離して考えた方がすっ
きりいった。

Written by in: 楽天日記 |

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