6月
06
2007

【本】癒しの島、沖縄の真実


癒しの島、沖縄の真実

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書評/ルポルタージュ

この本は沖縄の返還前から住み続けて沖縄を見てきた新聞記者による沖縄現
代史の貴重な資料だと思う。

著者は沖縄出身ではなく、金沢出身で大学卒業して琉球新報という沖縄の新
聞社の記者になった人だ。沖縄出身以外の人が返還前から住んでいることは
アメリカの統治下にあったので少ない。

人は自分のことを客観的に見ることは難しく、どうしても自分のことを甘え
てみてしまったり、逆に厳しく見てしまったりする。沖縄の人が沖縄を語る
よりも本土出身の人が沖縄を語るほうが客観性が出てくる、そして沖縄に住
み続けている著者だからこそ正確に評価できると思う。

私の沖縄との関わりはテレビや映画からだった。
「Gメン’75」という刑事ドラマで、変換後の沖縄がたびたび取り上げられ
た。米兵が交通事故を起こしたりレイプをしても、基地の中に逃れてしま
う。そして刑事が捕まえようとしても基地の中は入れず、やがて米兵は国に
帰ってしまう。犯罪者は罪を犯しても合法的に逃げることができるという、
植民地のようなことがまかり通っていて、それに対して日本人はなす術がな
かった。私は犯罪があって大変なところなんだなという印象しかなかった。

次は中学校の頃見た「飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」というドキュメンタリー
や映画だった。ほぼ同じ頃の話だが、若い医者が癌にかかり小さな娘たちが
成長するのを見ることができず死んでいく。せめて子どもたちにメッセージ
を残しておきたいという手紙が、NHKのドキュメンタリーになり本になり、
そして映画になった。医者の妻が沖縄出身で、医者が妻のお母さんと沖縄弁
でしゃべりたいという話の筋があり、そこで標準語と全く違う言葉が話され
ていた。沖縄出身の女性という、浅黒い肌に眼がパッチリ開いた魅力的なイ
メージが焼きついてしまった。

その頃から沖縄に行ってみたいな?、沖縄の女性って素敵だなぁという、脳
へ刷り込まれた。

話は飛ぶが、それが元かどうか知らないが、アジアを旅行するのが好きにな
り、挙句の果てはフィリピンの女性と結婚して、フィリピンと関わることに
なってしまう。

フィリピンと沖縄は、本土と沖縄よりも近く感じることがある。
同じ熱帯性の気候で、食材や文化が似ているところがある。
パパイヤ、マンゴ、パイナップル、ゴーヤ、へちまなど、調理方法は違うこ
とはあるが食材は同じだ。結婚してから週に1度はフィリピン流のゴーヤ
チャンプルーは食べている。豚も頭から足まで食べる文化だ。魚も熱帯魚で
鮮やかな色のパロットフィッシュ(ブダイ)を食べる。

同じ島国であり、おおらかでいいかげんなところや、音楽や踊りを愛すると
ころは似ている。沖縄は日本と中国の文化をチャンプルー(混ぜこぜ)にし
てオリジナル性があるが、フィリピンも中国とマレー、そしてスペインを混
ぜこぜにしている。

どちらもアメリカの基地問題を抱えていて、占領地にあった。

この本は沖縄について、知らなかったことがいくつかあったがそれを教えて
くれた。小渕総理がなぜ沖縄でサミットを開催したかという理由の一つに、
学生時代に沖縄研究会を発足してその会長をやっていたからだ。

「トートーメー」の慣習。家を相続するのは息子だけである、娘は相続でき
ない。しかも長男がいたら、次兄以降は相続できない。親戚の別の男子に相
続してもらうことになる。娘は婿をとって継ぐことはできない。トートー
メーは位牌のことで、先祖の位牌を継ぐ者が位牌とともに全財産を継いでいく。

しかし、近年の少子化で娘しかいなかったり、親戚とはいっても会ったこと
もない人に全財産を提供するのはおかしいという問題が起きてきた。この慣
習に逆らうと不幸になると信じている人が多く、難しい問題だ。

フィリピンは「トートーメー」というのはなく男女同権、兄弟同権である
が、基地問題や出稼ぎの問題がある。なかなか第二次産業が育ちづらいとこ
ろが沖縄と似ている。

ただ本の最終章で書かれていたとおり、世界中に移民をした日本人の中では
沖縄出身が多いことや移民は歌や踊りや三線を大切にして世界中に生きてい
る。そのような人たちのネットワークが築かれつつある。沖縄の歌や踊り、
空手などの文化を発信することに自信を持ち、東アジアの文化や交流の中心
として、本土とは少し違う日本として旅立とうとしている。

勇気付けられた。
フィリピンも世界中に出稼ぎに出ているので、そのネットワークができて、
彼らのホスピタリィな文化を発信して豊かになっていくことを望んでやまない。

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