5月
05
2007

【本】殺された側の論理


殺された側の論理 -犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」

Amazonで購入
livedoor BOOKS
書評/ルポルタージュ

犯罪に遭われた被害者側の視点に立った本である。
あなたは犯罪被害に遭っただろうか?犯罪被害者の身内だろうか?

最近になって、犯罪被害者の支援や裁判で発言する機会をもつようになった
と話題になっている。それは聞いてどう思うだろうか。犯罪被害者でなけれ
ば、それはたぶん他人事に過ぎないだろう。北朝鮮拉致の問題も身内のもの
でなければ、他人事なんだろうと思う。

今まで司法もマスコミも犯罪加害者のことばかり取り上げてきた。それは加
害者にも人権があるとか、加害者にもプライバシーがあるとかが話題にな
る。しかし被害者はどうなんだろうか?

「加害者は必然的に加害者になるが、被害者は偶然によって被害者にな
る。」と書かれている。自ら被害者になりたいと思って被害者になるのでは
ない。また通り魔殺人などは、たまたまそこに居合わせたからにすぎず、被
害者に落ち度はない。

この本に最初に出てくる山口県光市の本村洋さん。妻を絞殺され死後レイプ
され、赤ちゃんも犯罪の発覚を防ぐために殺された。
犯人は誰をレイプするのでも良かった、たまたまドアを開けた奥さんがその
対象になって、一家がめちゃくちゃになった。

この事件は悲惨であったが私にはよくある事件の一つであった。しかし、テ
レビで本村さんが「犯人を死刑にできなかったらすぐに出してください。私
の手で犯人を殺します。」ということを発言したときに、胸を打たれた。

もし私の妻がレイプされて殺され、子どもが殺されたら...どうするだろう?

もう失ったものは取り返せない。妻や子どもの悔しく死んでいった気持ちは
どうするのだろう。自分の気持ちは単なる復讐でないのか、復讐したところ
で取り返せない。

いろいろな気持ちが巡る。

たぶん、私はどんなことがあっても犯人を許せないだろう。犯人をとことん
追い詰めて殺すだろう。例え返り討ちにあっても。犯人を生み出したその両
親も親族も殺すかもしれない。直接関係ないとしても、その親としての責
任。そしてその犯人と交際している女性や友達も殺すかもしれない。

それで死刑になってもいい。
それで返り討ちになってもいい。

逆に私や私の家族が加害者になったときはどうなるのか?マスコミや地域の
人に叩かれひどい目に遭うだろう。人の親ならば仕方ない。私が犯罪者に
なって、子どもがいじめられるとしたら本当に申し訳ないと思う。

私が人を殺すとしたら、それは死をもって償うのが当然だと思う。
被害者が百歩譲って「生きることを許す」と言ってくれて初めて、生きるこ
とが許される。そして死ぬまでそのことを償わなくてはいけない。

マスコミに被害者のことや被害者家族のことが話題になって、初めて私はそ
のことを知ることができた。そしてこの本に詳しく書かれて初めて、被害者
に同感することができた。被害者は一生傷の消えない被害者である。殺人の
被害者は証言することはできないので、犯人が都合よく話すだけだ。犯罪し
たものがちだ。だからマスコミは加害者のことしか話題にすることは難し
い。被害者は悪いように書かれてしまう。

また加害者は刑務所からやがて出てきて再犯をすることも多いそうだ。刑務
所に入って更正することは難しく、自分の犯した罪を忘れ「自分が刑務所に
入ったのは被害者のせいだ」と逆恨みすることもあるらしい。特に性犯罪者
はまず再犯を犯すようである。先日の特急列車の中でレイプした事件もそう
だった。

加害者の人権を主張する人は一度被害者の立場に立ってみてはどうだろう
か?政治家や弁護士の方、一度ご自身が被害者になってみてから「死刑は止
めた方がよい」と言えるものならば言ってみろと感じた。

この本は読むのが辛かった。一言一言噛み締めて読んだので時間がかかっ
た。しかしこの本が出版されて、もう一度被害者のことを考えて、法律が犯
罪被害者の方にバランスよく傾けばいいなと思う。

実は私の家族も犯人が父の車をぶつけて死をさまよった。犯人は交通刑務所
に入った。刑務所を出た後に慰謝料の民事訴訟の調停を起こした。犯人は父
の記憶が戻らないことをいいことに、「父が交差点で赤信号で入ってきた」
と言いのけた。幸いにも目撃者が出てきて犯人側が赤信号だったことがわ
かった。調停では犯人は慰謝料を支払うことを約束したが、一回も払わずに
どこかへ逃げて今はどこに行ったかわからない。父は生還したが、脳の障害
で知能が落ちて再就職はままならない身体になった。

犯罪を犯す人は社会の底辺にいたり重圧に押されている場合が多い、しかし
罪は償い責任を負わねばならない。

Written by in: 楽天日記 | タグ:

コメントはまだありません »


コメント&トラックバック




トラックバック URL

コメントのRSS feed