4月
15
2006

【本】成功して不幸になる人びと

成功して不幸になる人びと

書名:成功して不幸になる人びと
The PARADOX of SUCCESS – When Winning at Work Means Losing at Life
著者:ジョン・オニール
監訳:神田昌典
訳者:平野誠一
発行:ダイヤモンド社
値段:1800円+税
ISBN 4-478-73268-X

えのっちさんから紹介されて神田昌典氏の「成功者の告白」を読んだのは今年の1月だった。それについて、以前このブログで書かせていただいた。

【本】成功者の告白・前半

【本】成功者の告白・後半

それ以来、「ビジネスで成功すると、家庭は不幸になる!!」ということが頭から離れない。
以下のようなことが書いてあったと思う。
「すべてのものを手にすることはできない。
ビジネスで成功すると、妻はそれをねたむことになる。ビジネスが新しいステージに移ったとき、家族は一緒に新しいいステージに移ることは難しい。夫婦の関係が悪くなれば、子どもはその関係を修復しようとして自ら病気になって2人の気を引こうとする。気づくのに遅いと、子どもは自ら命を落としてしまう。」

有名な経営者というのは、光があたっている面だけ見れば成功と定義されるが、本当はどうなんだろう?
私たちの身の回りには、ビジネスの成功やお金持ちになった人は、幸せになった人ばかりであろうか?人生の目的がお金持ちになること、名声を得ることならば、それでいい。しかし、充実した人生を送ることや世の中に貢献するということを考えているならば、成功と引き換えに家族を犠牲にしているかもしれない。

本書の冒頭でもジャック・ウェルチはGEの名経営者であるが、退職後に離婚訴訟となった。仕事で忙しくしているビジネスマンの中には、家庭は冷え切っているか、離婚前後であることも多いのが事実である。

私が数年前からなかば単身赴任の生活を送っていたときは、夫婦の関係は徐々に冷えつつあった。私が自宅にほとんどいないので、父親のいない家庭はどこかバランスが崩れていた。私の息子がADHDの症状が出始めていたときであり、娘も妻もストレスを溜めつつあった。いま私が東京の仕事を辞めて自宅に戻ってきたときには、家庭的な問題は減りつつある。それとは反対に経済的な問題は出てきたのだけれど。

神田昌典氏もその答えを探していたようである。そして彼がアメリカの本屋でみつけた本がこの本である。この本では、彼が書いた本「成功者は不幸になる」の理由が説明されている。

不幸になる理由は、人のもつ「シャドウ(影)」と断言している。
シャドウは誰もが持っているものである。
子どもは自我が強く、わがままで思い通りのことをするため、裏と表がない。人は成長とともに、他の人との関係を保つために、自我を抑える。他人にみせる自分は、他人にとって不快ではない面である。大人は他人にとって不快でないところを隠して付き合う。その隠しているところがシャドウである。

しかし、成功するとそのシャドウは暴発したり、爆発したりする。
それが、家庭を失ったり、親友をなくし、同僚をなくすことにつながる。シャドウは、自我が成長しても消えないのだ。私たちは大人になって、悪いところを隠そう隠そうとしても、決してなくならない。良い面が成長するとともに、そのシャドウも成長する。成功するとは、自分の良い面が成長することでもあるが、シャドウも同時に成長する。そして、そのシャドウを自分がコントロールできなくなくなるということだ。

シャドウは、私たち人間が持っている欲について大きくなりやすい。人間は誰しも欲を持っている。マズローの5段階説というのがあるが、生存に関わる食欲、睡眠欲、性欲から社会的な欲に関わるものまで、大なり小なり満足させたいという気持ちがある。それを抑えていると、シャドウに入り込む。日常生活の中で解消できる欲は問題ないが、シャドウの中に抑えている欲はどこかで解消する必要がある。性欲だって人の見えないところで解消したり、権力を満たしたいという気持ちをこっそり自分より弱いものにぶつけて解消したりするかもしれない。

これが成功したとき、このシャドウも強くなる。これまでの夫婦関係で解消していた性欲が、夫婦関係では収まらず会社の若い社員と関係を持ったり、2号さんをもったりする。上司に押さえつけられていた権力欲が、人の上に立つことで満足する。自分の成功に慢心して、すべてのことについて自分を正しいと思い、人の意見を聞かないようになる。

ではどうすればよいのか?
まず成功したことによって、自分は成長しシャドウも大きくなったことを認めるのである。
そして、成功したときが頂点ではないことを自覚するのである。まだまだ永遠に成長することを目指すべきであることを。

成長曲線というのがある。S字になっている曲線である。何かを始めるとき、最初はゆっくりと始まるが、やがて効率よくなってぐんと伸びる。やがて頂点に近づくと成長が緩み、努力したわりに伸びない。そして、最後は落ちていく。すべての成長はこんなカーブを描く。

しかし、これは一つのことに対しての成長曲線で、私たちは同時に複数の成長をしている。一つのところで伸び悩んだら、別の成長曲線を探せばいいのである。カーブが行き詰まったら、別のカーブをはじめる。そのカーブがまた伸び悩んだたら、別のカーブへいく。それを繰り返せば、永遠に成長することができる。例えば、ゴルフのスイングが伸び悩んだら、パターを学び始める。パターが行き詰まったら、サンドエッジをやり、その次はテニスをやったり、哲学書を紐解いたり、ピアノを始めたり、絵の勉強をしたり、何でも良い。とにかく自分の関心のあることをやり続ける。

ただし、実はその切り替えが実は難しい。人は習慣を簡単に変えることがなかなかできない。
居心地が悪くてもなかなか換えることができない。
そのときは、孤独になって自分と対話することである。

「あなたのしている仕事は、あなたの人生にとって重要なことか?」
「あなたがその仕事を捨てた場合は、どうなるか?」
「あなたが本当にやりたいことは何なのか?」
「あなたの仕事は、遊んでいるように楽しいか?」
「あなたがもしこの瞬間に死んだら、遣り残したことはないか?」

こういった質問を自分に投げかける。そしてシャドウと率直に向き合う。
シャドウは永遠に隠すものではなく、うまく付き合っていくものである。ときには、シャドウを人前に見せなくてはならない。それはセックスをするときに、自分の恥ずかしいところ、恥ずかしい性欲を相手に見せるようなものである。シャドウをうまく表現することは、人間性としても大切なことでもある。他人に見せるのがよくない部分を、うまくどうどうと見せることができれば、人間としての評価が高いのではないだろうか。

自分の失敗をおもしろおかしく伝えたり、バカに振舞えるというのは、とてもすごいことだ。

この本が正しいかどうかわからないが、どうなるかわからない将来に対しての布石が一つ打てたような気がします。

Written by in: 楽天日記 | タグ:

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