7月
09
2005

【本】IT導入は企業を危うくする(加筆修正)

著者: 増岡 直二郎
出版社: 洋泉社
定価: \1,600+税
ISDN: 4-89691-674-3

仕事場で思っていたこと感じていたことが、この本には書かれています。
経営者の方やITコンサルタント、SEの方は、一読をおすすめします。著者はITのコンサルタントというだけでなく、CIOや社長業も勤められた方です。IT導入には注意をすべきだが、企業にとっては必要なものであると主張しています。

企業が生半可な考えでITを導入すると、大きな火傷をして、失敗する。ひどい場
合は、会社は倒産したり、赤字に転落することもあります。

一般的な報告では、導入した半分のシステムは失敗しているそうです。しかし、会
社名を記載したアンケートや雑誌記事などでは、「うちの会社のシステム導入は
失敗した」と担当者が失敗を公言することはありえません。実際には、大半のシ
ステム導入は失敗しているのではないでしょうか?

それは、システム導入を丸投げしたり、成功基準を曖昧にしているところからお
きたのではないでしょうか。

昔から以下のようにコンピューター業界はアルファベットを3つか4つ並べて、
ブームを作り出し、新しいシステムを売り込んでいました。

1950?1960
EDSP(Electric Data 電子データ処理)

1960?1970
MIS(Management Information System, 経営情報システム)
DSS(Decision Support System, 経営支援システム)

1970?1980
OA(Office Automation, オフィスに導入)
FA (Factory Automation, 工場に導入)
CAD(Computer Aided Design, コンピュータ補助による設計)
POS(Point of Sales, すべての店舗レジに導入して販売量を得る)

1980?1990
EIS (Enterprise Information System?)
SIS(Strategic Information System, 戦略情報システム)
CIM (Computer Integrated Manufacture?, コンピュータ管理による製造)

1990?2000
CALS
EUC (End User Computing, 経営幹部に経営統計を提供する)
ERP (Enterprise Resource Planning, 統合パッケージ)
SCM (Supply Chain Management, 上下流を統合した生産管理)
CRM (Customer Relationship Management, 顧客管理システム)

2000?
EC (Electric Commerce, 電子商取引)
CMS (Contents Management System, コンテンツ管理システム)

私は1990年代から仕事をはじめ、AIやマルチメディア、グループウェアなどの傍
流に関わってきたので、実は本流のことは良く知りません。こうやってコンサル
ティング会社や大手ベンダーが、言葉を流行らせて、不安に思う企業をあおっ
て、仕事をつくってきたことは否定できません。

これらのどれも、コンピューターに関してどんな需要があるかといえば、以下の
2点です。

1. 会社の業務の一部をコンピューターにやらせる
2. 業務にとって必要な情報を管理して、的確に即時に得ることができるようにする

1については、コンピューターは単純作業しかできません。あらかじめ、プログ
ラマーが作ったとおりのプログラムを用意すれば、確実に高速に処理します。た
だし、柔軟なことはできません。

かつては経理課においてそろばんで計算していたことを、間違いなく高速にこな
します。受発注管理や生産管理など、多くの企業で共通されている部分は間違い
なくこなすでしょう。

しかし、業務の内容がきちっと定義されたことしかできません。曖昧なことや非
定型なことを盛り込むのは無理だと思います。結局コンピューターは、専門バカ
なんです。

2については、入力する情報がどれだけ正確かということが重要です。会社の経
理に用いる数値データは性格かもしれませんが、需要予測に基づくデータは人の
勘、営業マンは営業日報の正確なデータすら入れようとしないでしょう。不正確
なデータに基づいて、正確な情報を得ることはできません。

著者は、システムを導入するときは、社長が率先して計画・導入に関わることが
必要だと言っています。CIO(情報担当役員)やシステム部長に任せることも、
失敗の原因と言い切っています。企業トップが積極的に絡まないと失敗する、絡
んでもシステム導入とともに会社を変えていこうという意思がないかぎり、やは
り失敗します。社長はシステム以外のことでも多忙を極めますが、予算などの経営資源をシステムに分配するかどうかも重要なことです。またコンピュータの導入は高価だけでなく、業務のあり方も良い意味でも悪い意味でも変えてしまうからです。

工場のために新しい機械や、配達のためにトラックを購入したり、その人員をあ
てれば、すぐに売上があがることは予想がつきます。しかし、システムの導入は
会社の業務の流れを変えるものです。

会社というもの、他社と競争して生き残っていくには、競争優位があります。そ
れは会社独自のノウハウや秘伝のようなもの、それをシステムに導入するという
ことはいかに困難でしょうか。きちんと明文されていなければ、システムには導
入しずらいのです。

ERPはアメリカやドイツで作られて、彼らの企業文化のなかで育ちました。そん
な国ですら、導入に際して成功している会社は少ないのです。日本人はすぐに飛
びつきますが、日本の会社は独自性が強いために、あまりパッケージソフトはな
じまないということを理解しましょう。

会社の中でほんとうに単純部分は効果はでますが、複雑なところは人間にやらせ
た方がまだいいみたいです。会社の強みはまず人材を鍛えるとこからやりましょう。

とはいっても上にあげた、アルファベット数文字のところをみていただくと何か
気がつきませんか?

ブームが起きた当初は、言葉ばかり先行して実現に成功したものはほとんどあり
ません。しかし、10年後20年後は現実のものとなっていることがあります。コン
ピュータ技術が発達して性能があがり、実現する条件があがったのでしょう。そ
して、ブームが起きた当初はよくわからなかったものが数年の試行錯誤を得て、
形が固まり、きちんと機能してきたのです。EDSPなんて当然、OA、FAは当たり前のように、ワープロやExcelを使いこなしています。CADもPOSも当然です。これから10年かけてやっと、ERPやCRMが定着していくんでしょうね。

そして、80年代にうまれたSISの時代となりコンピュータ技術が武器になるかもしれません。(笑) 
CMによく出ていた田原の俊ちゃんはもうみませんが。

Written by in: 楽天日記 |

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