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2014 年 3 月 のアーカイブ

本「逃亡者の掟」と「許される日はいつ―ギリシャに潜んで13年」

2014 年 3 月 2 日 コメントはありません

escape

「逃亡者の掟」の著者は、人見 安雄さん。
「許される日はいつ―ギリシャに潜んで13年」の著者は、一緒に逃避行をした妻の 人見 江利子さん。

人見さんは人生の歯車が狂っていつの間にか、少年院や刑務所を往復するような犯罪者になってしまった。
真面目にやろうと思っても、悪友の誘いを拒むことができず、窃盗に加担してしまう。
ただ器用なので、プロの社交ダンサーになったり、見よう見まねで覚えた縫製や油絵はプロはだし。

窃盗団の一人だったが、妻の「逃げなさい」の一言で海外へ逃亡を決意した。
日本にいたら悪い友達に誘われて。悪の道から逃れられないと思ったからである。

妻と一緒に香港、台湾、タイ、パリ、ベトナム、スペインへと逃げる。
ギリシャで画家として有名になり10年以上絵を描いては売り、一財産を築いてしまう。

そして逃亡生活に疲れ、望郷の念に囚われて自主を決意して日本に帰る。
 
そんな稀有な半生を描いた自伝書と奥さんの手記。
この本をFacebookで教えてもらって、名古屋の図書館に両方ともあったので借りて読むことができた。

映画のようですごく面白かった。
逃避行はスパイ小説さながらだし、ギリシャでの生活も生活感を感じるような懐かしさがある。

登場人物も個性が強く人間性があふれている。
サイゴンの健気な子どもたちに涙し、
画家としての先生になったアントニースの厳しさと優しさに触れ、
ギリシャでの困難と成功。

自分が官憲から逃避行しているような恐怖と、冒険のような旅の楽しさが同居した不思議な物語であった。

ところでこうやって13年間も逃げおおせたのは、
彼の朗らかな性格や見た目の良さや、彼の社交ダンスや油絵の能力もあっただろうが、
地縁も知己もいない外国で生活できるのは驚嘆すべきことである。

私は外国での食事や文化は気にならないが、生きていく糧を得るのは自信がない。
それ以上に、孤独に打ち勝つこともできないだろう。
トラブルに巻き込まれれば、身ぐるみ剥がされて身元不明の死体となるだろう。

彼が13年もの長い間やってこれたのは、ひとえに相思相愛の奥さんがいつも一緒にいたからだと思う。

ところで彼の絵が気になって、ネットで探してみた。
一つだけ見つけた。たぶん日本に戻ってきて刑に服した後で描いた作品だと思うが、細やかでファンタジーのような世界だ。

http://www.e-kotto.com/contents/020/post_2043.html

函館港

彼が自首して日本に戻って逮捕された1986年9月初めは、私は中国へ2ヶ月旅行しているときだった。
当時大きなニュースになっただろうに今日まで全然知らなかった。彼も私も愛知県にいたのに。

そして彼が自首する1年後には、私はギリシャへも立ち寄っていた。
1年早く行っていれば会えたかもしれない。ギリシャに住んでいる人にも旅行中に会っていた。
きっと話が進めば、彼のことが話題になっていただろうに、またよく知っている人にも会えたかもしれないのに。

まあ旅行中、日本人だけでなくいろいろ怪しい人と会って話をしていたからね。みんな元気でいるかな!?

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