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2011 年 11 月 30 日 のアーカイブ

「子どもを信じること」という本 とカーンアカデミー

2011 年 11 月 30 日 コメントはありません


子どもを信じること

  • 田中茂樹
  • 大隅書店
  • 2940円

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書評

世の中ではお受験がブームである。
芸能人も少し余裕のある家庭もそして普通の家庭も、子どもの将来を思って少しでもいい学校に行かせたいと思う。
有名な私立の幼稚園、小学校、中高一貫校の伝統校などを目指して、生まれて歩き始めた頃から塾があったりする。
また小さい頃から、いろいろ習い事をさせる親がいる。子どもにいろいろなチャンスを与えたい。
だけど子どもが純粋に楽しんで遊ぶということを欠いてしまって、習い事で疲れはてていて、大丈夫なのだろうか。

一方で、大阪市長になった橋下さんなどは子どもを普通の公立学校で多少荒れていたとしてもそこの中で生き抜いていく野草のように育てなくてはいけないという。

子どもを育てる親はみんな初心者なので、どちらの言い分ももっともなので迷ってしまうというのが、普通の親ではないだろうか。

著者はどちらかというと橋下さんの意見に近い。
子どもは自ら良くなる方向に進んでいく。失敗しながら障害を乗り越えていく。自分で少しずつ生きるための力をつけていくのだ。
親が危険を回避するようなことをすると、子どもが自分で危険を回避する機会を失いかえって将来に不安を残すだろう。
子どもは暖かく見守り、言いたくてもじっと我慢するのが一番良いそうだ。

とはいっても、子どもに発達障害があったり、ぜんぜん勉強する気がなく将来が不安だという親が多い。
それに対しても、「大丈夫。子どもは自分で良い方向にはどうやるか考えるから。子どもを信じて暖かく見守ることが大事だよ。それよりも家庭という逃げ場や暖かい場所があれば、元気を得て外の世界に立ち向かう力を養うことができるよ」とおっしゃってくれる。

この言葉を聞くだけで、救われた気持ちになった。

実際に私の息子は「広汎性発達障害」という特徴を持っており、幼稚園、小学校と問題児だった。
授業と放課休みの区別がなかなかつかず、友達の気持ちを汲み取ることが難しく、トラブルを生んでいたし、リタリン・ファンダシールという薬も服用し、児童用の精神科に通っていた。
小学校の上級生になるに従ってだんだんと症状が安定してきた。中学校に入って薬もやめることができた。
少しは安心したと思ったけれど、中学校になってはっきりわかる成績の方は下降線を辿っている。

どんなに励ましても、なだめすかしても、時には怒っても、何も変わらない。
今でも、テストは適当に受けるだけ。ヤル気があるのかないのかよくわからない。
このままでは将来が不安で、どうすればいいか不安に思うし解決策も見えない。

でも本を読むとわかる。
その不安というのは親の不安であって、子どもの不安じゃないんだね。
子どもが将来どうなるかどの道へ進むかを親が考えるのは実は親のエゴなんだ。
どんな道にしろ、子ども自身が考えて子どもが一歩ずつ自分のペースで人生を歩んでいったほうがいい。

この本ではたくさんの事例が載っている。いろいろな場面での具体例は身近な例として参考になる。
それだけの例があるのならば著者の言うことは間違っていないとさらに安心できた。ありがとうございました。

ところで、カーンアカデミーというサイト(http://www.khanacademy.org/)をご存知ですか?
サルマン・カーン「ビデオによる教育の再発明」
http://www.ted.com/talks/lang/jpn/salman_khan_let_s_use_video_to_reinvent_education.html

英語サイトですが、ファンドマネージャーのカーンさんが親戚の子どもを教えるために、自分が教えるところをビデオにとってそれをYouTubeに載せたところから始まったサイトです。教え方が良くて評判を呼び、学校で教える教科ほとんどがビデオになりました。

子どもは自分で学ぼうという気持ちがあり、それは人によって進み方が違います。
ときどき早くなったり遅くなったり、興味のもつところも違います。
ある学校では、家庭でカーンアカデミーのビデオを見て自習し、学校で先生が質問に答えるという逆転現象も起きているとか。

貧しくて学校に行けなくても、大人になるまで学校に行くチャンスがなくても、いつでも学ぶことができる。

人はいつでも学びたい、向上したいという気持ちがあるのですね。
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