書名: 未来のきみが待つ場所へ
著者: 宮本延春
発行: 講談社
定価: 1100円+税
ISBN4-06-213672-4

 落ちこぼれで、いじめられっ子だったこどもが、高校の数学の先生になった。

 小学校二年生のときに九九で挫折、漢字もいじめっ子に邪魔され、学ぶ気
も失せた。自分自身がダメな子だと思っていた。
中学校1年のときの通知表はオール1、中学卒業のときはすべて足してやっ
と2桁11だった。

 身体が小さくて気が弱かったので、小さいときからいじめられていた。び
くびくしながらすごし、先生も親もいじめから助けてもらうことができない。
 いじめを苦に自殺も2回しようとしたことがある、だけど最後は母が悲し
い顔をするからできなかった。

 おまけに家庭も貧乏で、両親の喧嘩が耐えない。しかも、養子であること
を知った。

私が彼だったら人生に絶望しているだろう。どうして彼がなぜ立ち直って、
大学に入学し高校の数学の先生になれたのか?

こんな話は嘘だろうと思ってしまうが、どうも実話らしい。

読み始めた頃は涙が出そうになって悲しくなり、何度も本を伏せました。で
もがまんしながら読み進めると、「がんばて」と声援していて一気に2時間
で読み終えてしまいました。読みやすく自分の子どもにも読んでもらいたい
なと思います。

本を読んでも、彼の感じてきた辛さを同じように感じることはできないで
しょう。どれだけ絶望を感じていたかは本当にはわかりえません。本に書き
きれないこともあるだろうし、そのときの五感や心の中からの叫びのような
ものは得られないと思います。

でも別の種類の心の痛みや辛さの経験があれば、少しは想像できるのかなと
思います。

私は「いじめ」それ自身は仕方ないことだと思います。世界中でどの社会に
も「いじめ」はあります。社会的に立場の強いものと弱いものがある以上、
それが会社という組織の中、学校という組織の中に反映されます。

日本の「いじめ」は陰湿だといわれますが、それは日本の社会が陰湿だから
でそれが学校の陰湿ないじめに反映しているのだと思います。

陰湿というのは字のごとく、日のあたらないところで湿っているものです。
日のあたるところへ出れば、自分が成長できるところもあるでしょう。彼も
運よくそういった会社や人との出会いをして、今の彼があると思います。た
だその日のあたるところへ行くには、彼自身一歩踏み出したからではないで
しょうか。

彼が1週間閉じこもって、こんな人生からどう立ち直るか必死に考えたり、
「『する後悔』と、『しない後悔』、どちらかを選ぶならば『する後悔』
だ。」ということを自分で考え抜いたからだと思います。

私は尊敬できる先生もいましたが、幻滅している教師にも会いました。幻滅
している方が印象が強かったので、教師という道を進むことは考えませんで
した。でも彼のように挫折を経験した人にこそ、人を導く教師であって欲し
いと思います。

彼とは世代が異なりますが、同じ大学の同じ学部で学んだことを誇りに思っ
ています。


未来のきみが待つ場所へ

  • 著:宮本延春
  • 出版社:講談社
  • 定価:1155円

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